毎日Netflix

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主にNetflixで観た映画の紹介、劇場で観た映画も。

Netflixで『この世界の片隅に』を観た。戦争は嵐のように日常を荒らし、去っていく。歴史に残る、残すべき作品。

この世界の片隅に

 戦争を扱う映画は戦争の悲惨さを訴える。味方がいて、敵がいる。我々は当時の状況を想像しながら鑑賞する。
 今回紹介する映画『この世界の片隅に』では敵が描かれない、まるで嵐のように戦争を描く。日常の中にどこからともなくやってきた嵐は、散々生活を荒らして去っていく。我々が日々過ごしている日常の感覚と変わらない生活を丁寧に、そしてコミカルに描くことで、戦争がリアルに映る。

 第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞したこうの史代の同名コミックを、「マイマイ新子と千年の魔法」の片渕須直監督がアニメ映画化。
 第2次世界大戦下の広島・呉を舞台に、大切なものを失いながらも前向きに生きようとするヒロインと、彼女を取り巻く人々の日常を生き生きと描く。
 昭和19年、故郷の広島市江波から20キロ離れた呉に18歳で嫁いできた女性すずは、戦争によって様々なものが欠乏する中で、家族の毎日の食卓を作るために工夫を凝らしていた。しかし戦争が進むにつれ、日本海軍の拠点である呉は空襲の標的となり、すずの身近なものも次々と失われていく。それでもなお、前を向いて日々の暮らしを営み続けるすずだったが……。
 能年玲奈から改名したのんが主人公すず役でアニメ映画の声優に初挑戦した。公開後は口コミやSNSで評判が広まり、15週連続で興行ランキングのトップ10入り。第90回キネマ旬報トップテンで「となりのトトロ」以来となるアニメーション作品での1位を獲得するなど高く評価され、第40回日本アカデミー賞でも最優秀アニメーション作品賞を受賞。国外でもフランスのアヌシー国際アニメーション映画祭の長編コンペティション部門で審査員賞を受賞した。
(以上、映画.comより)

予告編↓

92点

 劇場で鑑賞済、何度も観たくなる作品なのでNetflixに来た時は嬉しかった。三回、四回と観てしまった。
 この映画を語る上で欠かせないのがやはり主人公『すず』のなんともいえないキャラクター。
 どこか抜けてる、いわゆる天然系なのだが、抜きすぎるとあざとくなりがちなその抜け感のさじ加減が完璧で、声を吹き込むのんさんの演技も最高なんです。(>▽ <)アリャー←という顔文字をいち早く自作してツイートしたのを覚えている。
 そんな愛らしいすずさんの日常がずっと続くのだが、もうずっと見ていられる。少ない食材を知恵を借りて調理する一連のシーンも大好きだ。
 抜けているが芯のあるすずさんの元に『嵐』がやってくるわけだが、空襲の勢いがまたリアルで、劇場で観た時この最初の爆音に相当ビビりました。

 後半、原爆投下の日を知っている我々は、その日が近づいてくる恐ろしさを味わう。劇中、広島で日常を送る人達は勿論知らないまま、7月28日、7月29日、とその日が近づいてくる。
 嵐はすずさんから大事なものを奪うだけ奪って去っていく、感情をむき出しにするシーンは何度見てもこみ上げてくる。
 原爆投下の描写もまたリアルで「実際こんな感じだろうなぁ」と思わせる。コワイ。

 歴史的背景は勿論、当時の風景までも忠実に再現しているらしく、当時を知っている人たちがこの作品を観てあーだったこーだったと懐かしむ光景があったり、おばあちゃんが孫に私の場合はこうだったと教えてあげたり、すずさんが完成させたもんぺが実はすずさんの間違った自己流の縫い方で完成させていたりとか、そんなエピソードが聞こえてくるのも良いですね。

 のんさんは元々好きで、出演作もカラスの親指からグッモーエビアン海月姫と観ましたが本当に良い役者でもあるので業界の皆様は妙な圧力を恐れずに使ってあげてください、なんつって。

 勿論のんさんだけじゃなく、全てのキャスティングが素晴らしい。本当に真面目に丁寧に作られた傑作です!
 実写ドラマ版が公開され、長尺版も今作っているらしいですヨ。


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