『ラブ&モンスターズ』(Netflixオリジナル映画)がとにかくめちゃくちゃ面白かった。最高!「好き」が詰まっている!(終盤ネタバレ有)
ラブ&モンスターズ
マイリストが埋まっていく中、Netflixオリジナル作品系の消化は後回しにしがち。あるあるじゃないでしょうか。
「どうせ消えないだろうし感」
さあそろそろ観てみようかなと観てみれば当たりだった時、なんでもっと早く観ていなかったんだ!なんて思ったり。
今回紹介する『ラブ&モンスターズ』もそんな当たりの作品の一つ。傑作ドラマ、『ストレンジャーシングス』の製作陣が作ったらしい。←後で知った
個人的には好きな要素が詰まりに詰まった、当たりどころか大当たりの作品でした。
「メイズ・ランナー」シリーズのディラン・オブライエン主演によるサバイバルスリラー。地上は巨大化した生物に支配され、絶滅の危機に陥った人類は地下での生活を余儀なくされていた。生存者の1人であるジョエルは、パニックの中で生き別れた恋人エイミーが生きていることを無線を通じて知り、彼女に会いに行くことを決意。約130キロ離れた場所にあるコロニーを目指し、死と隣り合わせの危険な旅を続けるが……。共演はドラマシリーズ「アイアン・フィスト」のジェシカ・ヘンウィック、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズのマイケル・ルーカー。2021年・第93回アカデミー賞で視覚効果賞にノミネート。Netflixで2021年4月14日から配信。(以上、映画.comより)
↓予告はこちら
94点
冒頭、地球に何が起き、現状どうなっているのかの説明が入る。
人は地下にシェルターを作り、怪物に怯えながら暮らしている。
さながらゲームのフォールアウトのような世界観。地下で暮らす事が日常化している社会。
戦える者はたまに地上へ出て狩りをする。しかし、本作主人公ジョエルはその狩りには参加しない。ジョエルは主に料理担当であった。
ジョエルはそんな勇敢な彼らに劣等感を抱きつつ生きている。
この流れを見ていると、料理人も充分役に立っているはず、とジョエルに言ってあげたくなる。しかし、劣等感を持っている当人からしてみればただの慰めにしか聞こえないのだろう。
常に劣等感とともに生きてきた自分にとって、ジョエルの思いというものにはとても共感出来てしまう。
そんなジョエルの成長というのも本作の見所でもある。旅の最後でのジョエル本人が体験する「気付き」
そこも最高に好きなポイントであります。
その他、とにかく『好き』が詰まっているこの作品。自分の『好き』に共感してくれる人には確実にハマるはず!
-「好き」その一『クリーチャー』-
自分、所謂「クリーチャー」が好きなのですが、エイリアン的ないかにもな感じのではなく、なんというか、「作り物感」のような物を感じるクリーチャーが好きなんです。
いや、エイリアンにも作り物感はあるのですがなんというか、キモいんだけどちょっと可愛い、みたいな。例えるならチャウシンチー監督作品の『西遊記〜はじまりのはじまり〜』に出てくる妖怪。2も大好き。そしてギレルモデルトロ監督作品の『パンズラビリンス』に出てくるクリーチャー。並びに『シェイプオブウォーター』のあの半魚人。
そこら辺に通じる個人的な「ちょっと可愛い」を感じるクリーチャーたち。
今回紹介する『ラブ&モンスターズ』に出てくるモンスターズにもそのツボを突いてくるクリーチャーがわんさか出てくるのです。
絶妙な気持ち悪さも最高にツボ。どこがちょっと可愛いんじゃボケ!と言われたとしても好きなんだからしょうがない。愛らしくてしょうがない。
-「好き」その二『イッヌ』-
意を決して旅立つジョエルと序盤で出会う犬。そして始まる犬とのバディ物ですよ。こんなの好きに決まってるじゃないですか!
予告どころか画像すらろくに観ていなかったので、この展開にはワクワクが止まらなかった。おいで!おいで!イッヌ!おいで!
-「好き」その三 『老人と幼女』-
旅の途中で知り合う二人。この危険な状況に二人で立ち向かい、北へと向かっている。
その凄腕な老人と幼女はまさにキックアスのヒットガールとビッグダディを思い起こさせた。
主役を食うレベルの強烈で魅力的なキャラクター。
この、老人と幼女の組み合わせはなんとも言えないホッコリ感を味合わせてくれる。それが「好き」で堪らないのだ。
アルプスの少女ハイジ、独裁者と小さな孫、幸せなひとりぼっち。どんどん出てくるこの「好き」の組み合わせ。各々関係性は違えども、この型であれば好きにならざるを得ない、ズルい型とも言える。赤ちゃんと動物、みたいな。あざとい!と思いつつもYouTubeの再生ボタンを押してしまえばニンマリしてしまう。ズ、ズルい!
-「好き」その四 『伏線』-
本作、「ラブ&モンスターズ」における伏線には「そういうことだったのか」的な大それた物はないのですが、小さい伏線がしっかり回収されていくのが良いんです。
物体だったり、言葉だったり。
そして回収するたびにジョエルは成長していくのです。
どんどん自信を付けて男らしくなったジョエルがラストには人生を問うメッセージをこちら側にも伝えてくる映画。それが『ラブ&モンスターズ』
あの終わり方に「続編あるなこれ」なんて言っている人を見かけましたが、自分は全くそうは思いませんでした。すごく綺麗に終わっていると思います。
この作品のメッセージ、それはジョエルが経験した
『勇気を出して一歩を踏み出してみよう。踏み出してみれば思ったよりもイケちゃうもんやで。』
これなんです。
リスクは伴います。明日死ぬかもしれない、いや、今日、今から死ぬかもしれない。そんな恐怖とともにジョエルは旅を続けたのです。
家に籠もっていては知れなかった数々の事を知り、希望を見出し、強くなれたのです。
身近なところで例えると、知らない人のいる飲み会です。行ってみれば楽しかったりするんです。でも行く前はすごく面倒くさくて行きたくないんです。
この例え、間違えた気がしてきていてもいいんです。勇気を出して踏み出す事が大事なのだから...
そのメッセージが本作のテーマであることから考えると、それが伝わり、行動となって現れたあの終わり方はしっかり終わっているのです。見事です。その先、もし、辿り着くところまで描いていたのなら、そのメッセージがメインから少しズレてしまうのです。
希望を胸に新たな一歩を踏み出す。その終わり方だからこその余韻。
あの二人の言葉にもニヤリとしてしまう。
ランキングを付けるのは難しいところですが、付けるとするならば本作『ラブ&モンスターズ』はNetflixオリジナルランキングのベスト3には入ってくる、いや、ベストと言っても過言ではないくらい面白い作品となっております。是非ご覧になってください。おすすめです!
と、いったところで一旦締めさせていただき、ここからネタバレを含めて『好き』の部分をまとめてもうちょい紹介していきますよ!
-「好き」その五 『リアルな切なさ』-
-「好き」その六 『行って帰ってくる展開』
ジョエルは長い旅路を終えて愛しのエイミーに会えたわけですが、7年経っているわけです。7年も経っているのなら、そらエイミーに男が出来ていても子供を産んでいても何も不思議ではない。リアル。
リアルな切なさが襲ってくるのです。
冷静になったジョエルも納得してしまう切なさ。
そんなジョエルがふと後ろを振り向くんです。
寄せ書きを見つけるのです。ジョエルが長年過ごしてきた仲間たちからの。
ジョエルを仲間としてともに過ごしていた者からの温かい寄せ書き。
ジョエルは自分が浮いていると思っていた。しかしそれはジョエルが自分で勝手に思っていたことだったのです。
ジョエルは仲間であり、恋人に会いに行くことを応援するとともに、危険な旅路を心配してもいた。
無線を繋ぎ、ジョエルの声を聴くと歓声を上げる故郷の友たち。
ジョエルはあの老人と幼女の向かった希望の地へと彼ら仲間を連れて行くため、戻るのです。
この行って戻る展開、マッドマックス怒りのデスロードやアポカリプトもそうですね。大好きな作品です。
ジョエル自身、仲間と気付いた上での再会。最高です。
そしてジョエルは宛ら外の世界を生き抜いた英雄でもあり、伝えるんですね、メッセージを。仲間たちと、そして無線を聴いている全世界の人々に。
『勇気を出して一歩を踏み出してみよう。踏み出してみれば思ったよりもイケちゃうもんやで。』
人々が地下を出て一歩を踏み出すラスト。最高です。
このコロナ禍にこのメッセージを変に受けて遊びに出ちゃう人もいそうですが(いないか)
コロナとコレは話が別なので、大人しく家でNetflixを観て過ごしましょう!