『ある子供』をNetflixで観た。(9月28日配信終了予定)倫理に反した行動を衝動的に起こす主人公に「赦し」を与えられるかで評価が割れるであろう作品。『少年と自転車』同様、傑作だった。配信終了前に観るべし観るべし。
ある子供
道徳という概念の無い主人公、ブリュノ。悪ガキのまま大人になったような彼は今も「盗み」を生業として細々と生きている。
同監督作品『少年と自転車』の記事で書いた、「社会に受け入れられないであろう純粋な悪ガキ」に感情移入出来るような自分としては、今回紹介する作品『ある子供』に出てくる「社会に受け入れられないであろう純粋なブリュノ」にも「ダメな野郎」だ、なんて安易に見放すことの出来ない感情が湧いてきた。
子供ができた若いカップルの過ちを描くドラマ。監督・製作・脚本は「息子のまなざし」のジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟。撮影のアラン・マルコァン、美術のイゴール・ガブリエル、衣裳のモニク・パレルなど、主要スタッフはダンデンヌ組の常連が結集。出演は「ジェヴォーダンの獣」のジェレミー・レニエ、これがデビューとなるデボラ・フランソワほか。2005年カンヌ国際映画祭パルムドール大賞受賞。(以上、映画.comより)
予告編↓
90点
主人公「ブリュノ」と恋人「ソニア」、まだ若い2人に子供が出来る。ブリュノは2人の少年を連れて盗みを繰り返している。ガキの小遣い稼ぎみたいなことを生業として生きるブリュノはいつも金に困っていた。
そんなブリュノでもソニアは見捨てず愛し続けている。「愛があれば」といった若さ故の姿勢で2人は無邪気にじゃれ合う。そのじゃれ合いにはまだ子供じみた幼稚さが垣間見える。
ここで表現される「幼稚さ」が伏線となり、ブリュノは後々、幼稚さ故の衝動的な行動を起こしてしまう。
罪を犯し、その罪の重さに気付くのは罰が与えられてからという。ブリュノの悲しい表情を見ていると正に子供、そう、タイトルの「ある子供」というのはブリュノのことを指していることに気付く。
幼稚なブリュノが衝動的に起こしてしまった罪により、大人のブリュノには無慈悲な罰が与えられる。
愛する者にまで見放されたブリュノはまた仲間に会いに行く。仲間の少年との子供じみたじゃれ合い、いつまでも子供のまま成長しないブリュノ。そんなブリュノに道徳心が芽生え、少しづつ大人に近付く、その一歩が垣間見れる終盤。そして「赦し」と「掬い」が訪れる。
『少年と自転車』でもそうだったように、危うさを残しながら終わりを迎える。その後の一筋縄ではいかないであろう人生を想像させる。音の無いエンドロールとともに。
ブリュノの子供っぽさの描写が絶妙、叱られて慌てて部屋を出る感じだったり、街の歩き方だけ見ても非常に子供っぽい。「こんな大人たまにいるよね」といったリアルさ。
どんな者でも法を犯した者、倫理に反した行動をとる者は絶対許さない、永遠に。といった絶対許さないマンにはハマらない映画だろうと思います。
もし、先に『少年と自転車』を観て、良いと思った方がいるのなら、絶対ハマります。傑作です!
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