『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』をNetflixで観た。証言する胡散臭い連中にどこまでが真実なのか勘繰りつつ観てしまう。ただトーニャが相当可哀想な境遇にあったのは事実。キャラで損している部分もあるが自分はそのキャラが大好きだ。
アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル
フィギュアスケートにあまり興味の無い自分でも知っている衝撃の事件、そしてトーニャハーディング。
ライバルであるナンシーケリガンが襲撃された事件で、トーニャハーディングが仕向けた、みたいな報道があり衝撃を受けたことを覚えております。
靴紐がどうのこうので演技を止めてジャッジになんか言っている映像も一時期流れまくっていましたね。
負けん気の強い良いキャラクターの人って印象でしたけどその生い立ちを観るとこんなにも可哀想な人生を送っていたのかとトーニャハーディングを見る目が変わりました。
そして冒頭でトーニャ自身が語る「人はあの事件を間違ったまま記憶している」という言葉。
あの事件はトーニャが仕向けた物ではない。その真実をトーニャやその周りの人物の証言によって真実の物語として完成させた映画がこの『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』
しかし、その証言をする者がトーニャ含めてたまに胡散臭いことを言い出すのでなんか嘘臭い、そこ口裏合わせてね?みたいな。トーニャハーディングのイメージ回復大作戦なんじゃね?感が湧いてきてしまう。
映画の最後に字幕が入るんですけど「トーニャ曰く、〇〇とのこと」みたいな字幕の出し方でなんかちょっと笑ってしまった。やっぱイメージ回復作戦なんじゃないかと勘繰ってしまう。
アメリカ人のフィギュアスケート女子選手として初めてトリプルアクセルに成功し、1992年アルベールビル、94年リレハンメルと2度の冬季五輪にも出場したトーニャ・ハーディングのスキャンダラスな半生を、「スーサイド・スクワッド」のハーレイ・クイン役で一躍世界的にブレイクしたマーゴット・ロビー主演で描いたドラマ。貧しい家庭で厳しく育てられたトーニャは、努力と才能でフィギュアスケーターとして全米のトップ選手への上り詰めていく。92年アルベールビル五輪に続き、94年のリレハンメル五輪にも出場するが、92年に元夫のジェフ・ギルーリーが、トーニャのライバル選手を襲撃して負傷させた「ナンシー・ケリガン襲撃事件」を引き起こしたことから、トーニャのスケーター人生の転落は始まっていた。プロデューサーも兼ねてトーニャ役で主演したロビーは、スケートシーンにも挑戦。母親役のアリソン・ジャネイが第90回アカデミー賞の助演女優賞を受賞した。元夫のジェフ・ギルーリー役は「キャプテン・アメリカ」シリーズのセバスチャン・スタン。監督は「ラースと、その彼女」「ミリオンダラー・アーム」のクレイグ・ギレスピー。(以上、映画.comより)
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82点
トーニャハーディング。この映画を観て始めてこの人の生い立ちを見た。
性格に問題のあるいわゆる「毒親」に育てられたトーニャ。その母はトーニャのフィギュアの才能を利用する形で学校にも通わせずにフィギュア漬けにさせるわけだがその毒親っぷりが半端ない。
本人も出てきて証言しているのでここは真実であろう。
ハッパをかけて負けん気を出させる育て方。飴と鞭の鞭部分だけが描写されるのだが、実際はおそらく飴もあげていたのではと考える。というのもこの後のトーニャの境遇を見るに鞭十発の後の飴で幸せを感じてしまうようなニュースでよく見るDVを受けていても別れない謎の女に育っていくわけです。
ナンシーは一回叩かれただけで大騒ぎされたけど私は百万回殴られてっからよーみたいなことをトーニャは言っていて、相当気合入っているこの人は今人生で始めて鞭無しの愛を与えてくれる人と出会い、一緒になったそうで本当に良かった。
フィギュア界を追放されたトーニャは殴られ慣れているからといって総合格闘技への道へ進んだり、自虐を極めていましたからね。
やはり否定して負けん気を出させるような育て方はリスクがあると自分は思います。どうしても心が捻じ曲がってしまう気がする。かく言う自分もそんな育てられた方だったのでやはり心が捻じ曲がっている部分ありますし。
でもそんな育て方だったからこそトーニャはここまで行けたという論もあったりするんだろうけど、果たして結果良ければ全て良しなんでしょうかとも思います。
実際元々貧乏であった上にそのキャラクターのせいでスポンサーが付かないといった境遇に陥っていたわけで、本当不憫に思えてしょうがなくなる。
あの事件の後もずっとマスコミに張られ、コメディアンのネタに使われては笑われる状況。その苦しみは想像を絶する。
そんな事件の真実をトーニャは語るのだが、加害者側が語る真実の信憑性ってどうなの、と言う話で。まぁやった側しか知り得ない情報なのは確かだが、この映画で証言することを承諾したトーニャの元旦那と、実行犯へと繋げた元旦那の連れであるデブとは全然口裏合わせ出来る関係ではあったわけで。
尚且つあのデブなんか金積めばなんぼでも言うこと聞くようなどうしょうもない奴感がプンプン香ってくるわけで。
この映画を観た人の感想がだいたいその真実を真実として捉えている人が多くてもう奴らのしてやったりじゃないかと。印象操作大成功じゃないかと、思ってしまう自分はやはり心が捻じ曲がっているのでしょうか。
確かにトーニャとその元旦那の言い分に食い違いがあったりする『リアルさ』はあれどもそこんところはそんな重要な部分ではなく、彼らが正したい我々の『間違った記憶』というのはトーニャと元旦那はナンシーケリガンを襲撃しろなんて一言も言っていないということなわけです。
それが真実として知れ渡ればトーニャハーディングを勘違いしていた人の手のひらを返せる。それが本来の目的なのでは、と勘繰ってしまいます。
確かこの映画が売れればトーニャに追加のお金が入る契約をしているわけですし、トーニャのスタンスである「真実?今更何よ」的な演出もなんか『トーニャっぽいな』なんて思ったりもします。
そんなトーニャですが、そのキャラクターにやはり嫌悪感を感じる人が多いということをトーニャ自身が一番知っているわけです。
それを知っていて煙草を吹かしながら「アイ、トーニャ」なんて言う彼女のキャラクターがサイコーで大好きです。
そんなことを本人に伝えたところで「興味ないわ」なんて言われそうですけど。
そしてトーニャハーディングを演じたマーゴットロビー、スーサイドスクワッドのハーレイクイーンですね。
彼女も素晴らしかったです。母親役も凄かったですがマーゴットロビーもかなり気合入ってました。
なんせ彼女自身資金を出してプロデューサーを兼ねてますからね、ポスターに写っているようなポーズを取るシーンがあるんですけど、そのシーンの暗いオーラを漂わせた不貞腐れ感とかサイコーのワンショットでした。
スケートも相当練習したそうです。スケートシーンも迫力があって良かったですし、トーニャハーディングの有名なシーンも諸々再現していて面白かった。
そんなわけで、トーニャハーディングを少しでも覚えている人にはオススメです。あーこんなんあったなーなんて懐かしくなったりもします。