毎日Netflix

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主にNetflixで観た映画の紹介、劇場で観た映画も。

『失くした体』(Netflixオリジナルアニメ)を観た。大好きな映画『アメリ』の脚本家が書いた小説が原作ということで観てみた結果そのストーリーと構成に惹きつけられた。手が身体を捜して旅をする。

失くした体

 斬新な絵面で独特な世界観を描いているでしょ、感を感じてしまうアニメってたまにあるじゃないですか、背伸びした学生がYouTubeとかにupして独特でしょアピールを凄い感じてしまう、的な自主制作アニメによくあるやつ。
 その独特な感じ、結構見るから独特じゃなくなってるけど独特な感じというジャンルがあるならばソレ、みたいな。
 今回紹介するこの『失くした体』冒頭を観て思ってしまったのがソレなんですけどストーリーが見えてきた頃にはもう魅入っていました。
 そういう構成かと、手は何の為に体を捜すのか、手が覚えている記憶が旅の途中に入る回想として描かれ、手の目的が最後にわかる。
 タイトルの『失くした体』
 失くしたのは手ではなく体の方という視点も面白い。
 アニメだからこそ出来るカメラアングルを自在に操り、説明し過ぎない絶妙な台詞回し。フランス発のアニメ映画『失くした体』
 これこそ独特な傑作アニメ映画である。

2019年・第72回カンヌ国際映画祭批評家週間でグランプリを受賞し、世界最大のアニメ映画祭である第43回アヌシー国際アニメーション映画祭でも最高賞のクリスタル賞と観客賞をダブル受賞したフランス製長編アニメーション。「アメリ」の脚本家としても知られるギョーム・ローランの小説「Happy Hand」を原作に、これまで主に短編作品を発表してきたジェレミー・クラパン監督が自身初の長編作品として手がけた。パリのとある医療研究施設で切断された手が、施設から逃げ出す。再び自身の身体とつながりたい手は、身体の持ち主であるピザの配達人ナウフェルを捜して、ネズミやハトに追いかけられながらも街をさまよう。手は、何かに触れるたびに記憶がよみがえっていき、ナウフェルの幼少期や、思いを寄せる司書ガブリエルとの思い出が明らかになっていく。(以上、映画.comより)

↓予告はこちら

84点

 幼少期、ピアニストになる夢と宇宙飛行士になる夢を持つ子供だった主人公ナウフェル。
 そんなナウフェルの手が切断されたところから物語は始まる。
 父と母に愛され、幸せな日々が続く描写を手をメインに撮る構図で描く。
 どういった理由で手が切断されたのかはまだ描かれない。
 手が動き出し、体を求めて旅に出る。手の視点から描くアクション映画が始まる。その途中途中に回想が入り、ナウフェルが手を切断するに至るまでが描かれる。
 軽くミスリードが入りつつ描かれるのでスリルが続く。ここで切断してしまうのか、と思いきやそこじゃなかった、みたいな。
 これは気になって観続けてしまう構成、そこに切ないナウフェルの生い立ちが重なってくる。
 青年ナウフェルはピアニストでも宇宙飛行士でも無い、ピザの配達人。
 理想と現実といったリアルな光景。一度脱線した者は中々元の道には戻れない。現実を受け入れることしか出来ない、現状を変える気力も無いようなナウフェル。リアルだ。
 そんなナウフェルがピザを届けに行くのだが、事故に遭い遅れてしまう。そのことを届け先の女性に伝えるシーン、そしてその女性とのやり取り、ここにもセンスを感じた。この時点でもう自分はどっぷりハマっていた。
 その後に起こすナウフェルの行動には若さを感じる。
 トキメキは人生を豊かにする、行動力が解放される。
 運命は決まっていると思うか、とナウフェルが語るシーンがある。
 運命は決まっているがそれを打破するには、例えば目の前にあるクレーンに飛び乗るとか、突飛なことをすれば運命は変えられる。
 それを実行したのが、切断された手なのだと自分は察した。

 ナウフェルがまた落ち込んでいる、失くした体のそれを察した手は彼の行動を案じクレーンに飛び乗ると同意の行動を取ったのだ。
 ずっと手をメインにした構図で幸せだった頃を描いていた。本体は手であり、幸せを覚えているのも手なのだ。
 その手が切り落とされたナウフェルの運命はもう決まっていた。運命を変える為に手はクレーンに飛び乗り、『失くした体』ナウフェルの元へと走る。

 この映画の曲もまた独特な曲が多くて面白い。妙にハマるしどんどん惹きつけられる。
 そして妙に記憶に残る、そんな映画でした。
 
 ちなみにこの映画の原作『Happy Hand』を書いたギョーム・ローランが脚本を担当した『アメリ』という映画は自分おそらく4回5回は観ているくらい大好きなので未見の方は是非観てみてください。Netflixに入っております。
 気持ちの伝え方がわからない子が非常に回りくどいイタズラに似たアプローチを取ってしまう可愛らしい映画です。そのうち記事にしようと思っております。

↓『アメリ』はアマプラにもあるようです。

↓保存版ブルーレイ

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