日本劇場未公開『13 LOVE 30』をNetflixで観た。大人に憧れる13歳の女の子がある日突然時を飛ばして30歳に、理想と現実の違いに揺れながら13歳なりに現実を生き抜くラブコメ。彼女にとっての「大切なもの」を見つける物語。「これは単なるSFじゃない!」という私的考察も。
「あの時こうしていれば…」系の作品にある切なさというのは誰もが経験している感情だからこそ心が打たれる。私のような後ろを振り返っては溜息を吐くタイプの人間には特に効く。
今回紹介する映画、『13 LOVE 30』の主人公「ジェナ」はそんな私とは違い、すごく前向きに生きていく。いきなり30歳に飛ばされたとしてもずっと前向き。そんな彼女が後ろを振り向く時、溜まった切なさがグッと押し寄せてくる。
13歳の誕生日、大人になりたいと願った少女は、翌朝起きるとなんと30歳になっていた。心はまだ13歳のまま、大人の女性としての生活が始まった!(以上、Netflixより)
予告編↓
88点
大人に憧れる女の子が送る背伸びしがちな生活、それは友人との付き合い方にも現れてくる。そんな13歳の女の子「ジェナ」が起こした一つの行動。
あるきっかけでいきなり30歳の自分になったジェナ、憧れの大人になったジェナは自分が最低な人間になっていたことに気付く。
13歳から30歳までの記憶がすっぽり抜けている状態、心は13歳のまま仕事に精を出すジェナ。今まで嫌な感じだったジェナに距離を置いていた部下とも、13歳のジェナにより距離が縮まっていくところなんかも凄くいいです。
盛り上がらないパーティでジェナがDJにかけてもらう13歳のジェナが大好きな曲、サイコーです。
そんな憧れの「大人」になったジェナだが、親友のマットが周りにいないことに気付くんですね、調べていくうちに過去に起こしたジェナの行動、その後がわかってくるという。
30歳の嫌な感じのジェナに13歳のジェナが憑依したことにより良いジェナに変化した。
この映画は一見すると13歳のジェナがあるきっかけで30歳になったというSFです。しかし私はそう考えない。これは30歳のジェナに与えられた采配。与えたのは神なのか5次元人なのかはわからないが、あまりにも酷いジェナに昔を思い出せと、30歳から遡って運命の分かれ目となった時までの記憶を消し、悔い改めよと、悔い改めたのであれば褒美を授けよう的な、そういうSFなのだと私は考えた。
そしてまた更に私は考えた。これは裏をかいての夢オチなのではと。運命の分かれ目、「そういうことしたらこうなっちゃうぞ」的な夢をジェナに見せていた。見せていたのは神なのか5次元人なのk(略
この3種のオチ考察のうち、好きなのを選べば良いわけです。個人的に好きなオチは3番目の夢オチです。
今まで観ていたものは現実に起きていたことではなかった的な衝撃も味わえるし、これは現実に起きていたことではなかったけれどもそのまま行けば現実に起きること、という点でUで始まる名作での虚無感とはまた違った感覚を味わえる。
過去を振り返るのではなく、ずっと前を向いているジェナの方が魅力的だなとも思うので。
ラストのサイコーな演出にも繋がる気もします。「そこの経過を見せてここの経過は見せないよー」的なニクい演出。考えすぎですかね、でも考えるのも楽しい。
ただ、この映画の難点を上げるとすれば、30歳のジェナが13歳ぽくないという。ここ結構重要なところだと思うのですが、これは演技の問題なのかなんなのか…
そんな良作『13LOVE30』ですが、日本劇場未公開DVDスルー作品ということで、全米で人気を博した作品をしっかり持ってくるネットフリックス。BIGUP!!