毎日Netflix

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主にNetflixで観た映画の紹介、劇場で観た映画も。

Netflixで観た『幸せなひとりぼっち』が生涯ベスト級に良かった。超良かった。

幸せなひとりぼっち

 クレーマー気質の頑固なジジイってのは結構どこにでもいるものですが、真正面から対話を試みてみると意外な一面が知れたりする。彼らは人に知られたくない内面を隠すために、自分を強く見せようとポージングを続けているだけだったりする。
 内面が表に出てくる事を察するとまた突き放してしまうから対話は続かない。変人扱いされて遠ざけられるのが一番楽なのでポージングは続く。

 今回紹介する映画『幸せなひとりぼっち』はそんなジジイが、新しくやってきた良い意味で図々しい隣人に頼られることで、徐々に心を開いていくお話。

 孤独な老人が隣人一家との触れあいを通して再生していく姿を描いたスウェーデン発のヒューマンドラマ。世界的ベストセラーとなったフレドリック・バックマンの同名小説を映画化し、スウェーデンで大ヒットを記録した。
 愛する妻に先立たれ、悲しみに暮れる孤独な毎日を送っていた老人オーベ。そんなある日、隣の家にパルバネ一家が引っ越してくる。
 車のバック駐車や病院への送迎、娘たちの子守など、何かと問題を持ち込んでくるパルバネたちにうんざりするオーベだったが、次第に彼らに心を開くようになり、やがて妻との思い出を語りはじめる。
 「アフター・ウェディング」のロルフ・ラスゴードが主人公オーベを好演。スウェーデンアカデミー賞と言われるゴールデンビートル賞で主演男優賞と観客賞をダブル受賞した。(以上、映画.comより)

予告編↓

98点

 冒頭のシーンでこの主人公のおじいさん、オーヴェがどういう人なのかをとても上手く表現している。
 先立たれた妻のお墓に供える花を買うシーン。お客さんが花を持ってレジへと向かうと、
 「私が先に並んでいた」
 と会計を始めるオーヴェ。割引券を提示するも二束以上でないと使えないと言われ文句を言う。
 観ている側からすると、後ろのお客さんのと一緒に買ってあげれば、といった考えがよぎるもカットが変わって、文句を言いつつお墓に二束の花を供えるオーヴェ。

 自分の住んでいる地域の見回りが日課で、定めたルールを破る者を高圧的に叱る日々。
 住人はオーヴェと距離を置いて接している感じ。そんなオーヴェが愛する妻を追って自殺を試みるのだが、失敗が続く。そのたびに人生を振り返り、オーヴェの過去が明かされていく。

 良い意味で図々しいイラン系移民の隣人が現れたことにより、オーヴェの生活が変わっていく。強引に頼られることによってそこに社会との接点が生まれる。死ぬ前の『心残り』が出来ていく。

 嫌な感じだったオーヴェの高圧的な言葉の端々にしっかり愛があるのが良い。
 隣人一家の無邪気な子供との触れ合い、邪険に扱っていた野良猫との触れ合い等、癒し要素も入り、嫌々なポーズで文句を言いながらもちゃっかり付き合い続けるオーヴェにホッコリする。

 ひとりぼっちだったオーヴェがいつのまにかひとりぼっちではなくなっている。人に物を頼めるところまで心を開く。偏屈なジジイだったオーヴェは別に捻くれているわけではない、移民もゲイも差別することなく、ただただ真っ直ぐだった。

 
 オーヴェの心が開かれていく様は、『恋愛小説家』という私が大好きな作品に似ている。ジャックニコルソンの名演が光る傑作。
 『ドラゴンタトゥーの女』『モールス』等、スウェーデン映画のハリウッドリメイクが成功している昨今、今作のリメイクもジャックニコルソンで!なんて安易な事を考えていたら、主演トムハンクスでリメイクがもう決定しているんですね。非常に楽しみです。

 ということで、
 手は器用生き方不器用死ぬのが下手な偏屈ジジイの映画
 『幸せなひとりぼっち』
 本当にオススメです!

 生涯ベスト級!




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