Netflixオリジナル『ネクストロボ』を字幕で観た。説明不足な部分もあるが劇的な構成が見事で娯楽作品として充分楽しめた。ベイマックスのパクリだとか言われているが寧ろベイマックスより好きかもしれない。傑作!
ネクストロボ
Netflixオリジナル作品には良い印象が無かった昔、喰わず嫌いをやめて色々観てきた中で『ヒットマンズボディガード』や『最後の追跡』など、傑作は存在することに気付き、オリジナル巡りも楽しいなーなんつってたらまた傑作が見つかりました。
それが今回紹介する『ネクストロボ』というCGアニメ映画。ただ、これは人を選ぶ作品かもしれない。
『少年と自転車』の記事でも書いた「救いようの無い悪ガキ」を単純に見放してしまえる、自然に距離を置いてしまうような人は最初から最後まで感情移入出来ずに冷めた目で見てしまうかもしれない。
それほど主人公『メイ』の暴力を伴うひねくれ感は人を突き放す力がある。ある意味リアル。しかし、孤独が彼女をひねくれさせてしまったと考えると、私は逆にグッと引き寄せられた。
孤独な少女と勇敢でピュアな戦闘用ロボットが繰り広げる大冒険を描いたNetflixオリジナルのアニメ映画。ロボットだらけの未来。メイは生活のすべてをロボットに任せきりの母や友人たちと上手くいかず、孤独な毎日を過ごしていた。そんなある日、戦闘用ロボット7723と出会ったメイは、一緒に過ごすうちに友情のような絆で結ばれていく。メイのことを大好きになった7723は、限度のある記憶容量に彼女との思い出を残すため、ある決断をする。やがて、7723を開発したロボット会社が人類滅亡をもくろんでいることが判明し……。日本語版では、お笑いタレントの劇団ひとりがメイの愛犬モモの声を担当。(以上、映画.comより)
予告編↓
87点
この作品、散々ベイマックスのパクリだのと言われ、酷評が飛び交っていたりしていたので正直相当ハードルが低い状態で鑑賞しました。なんならアラを突きまくってやろうとまで意気込んでいたかもしれないくらいの状態で観てみたらどんどんハマっていき、終盤からラストへの展開、娯楽作品としての盛り上がりどころの置き方、舞台構成、演出が見事で完全にしてやられた気分になりました。
ベイマックスと被る部分はたしかにありますがはっきり言ってこれを最後までしっかり観て「パクリ」なんて言っている人は信用出来ないですね。ベイマックスとは中身別物です。寧ろベイマックスにあった「お茶目でしょーベイマックス」的な『あざとさ』に若干煩わしさを感じた私としてはネクストロボの方が「狙ってる感」が無くてすんなり入り込めました。
主人公の「メイ」は母子家庭で育ち、母親はスマホやらロボットやらに夢中でずっと孤独を感じていた。
気が強く、ひねくれているから友達もいなく、いじめっ子にも父親がいないことをいじられては憎悪が溜まっていく。
そんなメイが7723というロボットと出会い、唯一の友達になっていくというストーリー。
この作品を観て感じた「惜しいなぁ」という感情。もうちょい描くとこ描いて説明すべきところを説明していたら完璧だったのに、という。
まずこの7723というロボットがどういう意図で作られたのか、だったり7723の外部メモリかなんかが外れ、メイとの記憶を日々選別して消去していくのだが、その「メイとの思い出」をもうちょい良い感じに描いていれば、何か、いじめっ子との和解のきっかけになる1エピソードかなんか入れておけばそれだけで深みが出る気がした。いじめっ子との和解の仕方も結局暴力じゃねえか感が残ったし。
しかし、その「惜しいところ」を気にもさせない終盤からラストへの熱い展開。各々が各々の舞台に立ち、闘う。鑑賞者視点で存在を知っているがずっと見れていなかった力の解放、一番派手な物をラストへ持ってくる物語の構成、見事。
消えていく記憶と破壊を交互に描く演出、サイコーです。素晴らしい。そしてベイマックスとは全く違う最後へ…
良い作品でした。私がこの作品を字幕で観た理由ですが、Netflixにまで入れ込んできた商業主義に振り切った日本映画界の悪習に対する反骨です。
声優に芸人を起用する、売りたい歌手にテーマソングを唄わせて売る手法。これを書きながら吹替で観てますけどやはり字幕の方が断然良いですメイの愛犬モモ。ぶちゃいくで超可愛い。
劇場映画だと吹替しか来ないパターンがあるので最悪ですけどNetflixなら字幕で観れるのでまぁいいっちゃいいんですけどね。
ということで、『ベイマックスのパクリ』というネガティブワードに惑わされ、先入観に支配されないうちに純粋な気持ちで観ることをおすすめします。
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