毎日Netflix

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主にNetflixで観た映画の紹介、劇場で観た映画も。

『タイラー・レイク 命の奪還』(Netflixオリジナル映画)を観た。イカれたカメラワーク(褒めてる)。リアル志向の殺陣。アクション好きなら確実に楽しめる傑作。ジョンウィック好きな人は間違いなく楽しめるヨ。

タイラ・ーレイク 命の奪還

 自分は格闘技が好きで、特に好きなのはMMAと呼ばれる所謂なんでもありルールの物が好物でして。
 しかし入りは小学生の頃に見ていた新日本プロレスだったり、大人になった今でもプロレスは好きなエンターテイメントであります。
 いきなり何を話しているのかといった感じですが、これ映画にも言えることなんです。
 派手なドンパチ。大振りな殴り合い、間を置きながら進行する対決。
 大味な演出も感情を溢れさす味となり興奮を誘う。
 しかし、より好きなのはリアル志向。
 状況に応じた最適解を常に選択し、実行していく的確なスピード感。
 決められた殺陣に少しでも『待つ』動作が入ってしまうと台無しになる究極の殺陣。
 それがこの『タイラー・レイク 命の奪還』最大の魅力となっている。
 スタントマンの監督が自らカメラを担ぎ、車に身体を固定して主人公の乗る車を追いかけつつカメラを回す、というイカれた撮り方をしているのを先に知っていたのでそのカメラワークにはつい笑いが出てきてしまった。
 この映画、大好き。

マイティ・ソー」「アベンジャーズ」シリーズのクリス・ヘムズワースが主演を務め、「キャプテン・アメリカ」「アベンジャーズ」シリーズの監督アンソニージョー・ルッソ兄弟が製作、「アベンジャーズ エンドゲーム」などでスタントコーディネーターを務めたサム・ハーグレイブが初メガホンをとったNetflixオリジナル映画。誘拐された少年を奪還するべく敵だらけの街に潜入する傭兵の死闘を描いたサバイバルアクション。裏社会の危険な任務を生業とする凄腕の傭兵タイラー・レイクは、ムンバイで誘拐された犯罪組織のボスの息子を救出するため、ギャングが支配するバングラデシュダッカ市街地に向かう。敵のアジトに単身突入したタイラーは少年の奪還に成功するが、街中のギャングたちから猛追を受ける。絶体絶命の状況の中、卓越した戦闘スキルを駆使して戦うタイラーだったが……。(以上、映画.comより)

↓予告はこちら

92点

 『ジョン・ウィック』というキアヌ・リーブス主演の映画がありまして、使う武器に応じた立ち回りを完璧にこなして敵を倒していくというアクションが最大の魅力であるこの作品。
 復讐劇なんですけど最初の復讐のきっかけがまた良くて、誰もがこの人を支持する!といった衝撃のきっかけがまたこの主人公は絶対良い人といった感情も生んでキアヌ・リーブス人気も上がっちゃうという。
 そんな大好きな映画の1つでもあるジョン・ウィックの監督がチャド・スタエルスキという数々の映画でスタントコーディネーターを手がけてきた人。
 今回紹介する『タイラー・レイク 命の奪還』の監督であるサム・ハーグレイブもまたスタントマン、スタントコーディネーター出身。
 自分の売りを作品に落とし込むことに成功している。
 ジョン・ウィックが好きな人には自信を持っておすすめ出来る、そんな作品が今回紹介する『タイラー・レイク 命の奪還』
 逆も然り、タイラー・レイクを観て楽しめた人はジョン・ウィックもきっと楽しめるでしょう。
 
 監督、サム・ハーグレイブ自らカメラを持ち、身体を車に縛り付けてカメラを回すといったイカれた撮り方が生むカメラワーク。
 車を追っているとスッと車の後部座席に入っちゃうカメラワークには一体どうなっているんだと思ったがあれは流石になんらかの技術を使って繋ぎ合わせているのでしょう。
 長回しがずっと続くシーンもどこまでが“長回し”でどこまでが“長回し風”なのか、もしかして全部長回しなのか?といった感じで楽しめる。
 ↓自分がつい先に見てしまった撮影風景も載せておきます。

 長回しだからスタントマンが使えないと主演のクリス・ヘムズワースが言っていましたが、本当に身体を張った演技を見事にこなしていました。
 そして監督もまた身体を張っているという面白い画。
 先にこれを見たことにより、作中のカメラワークを見ていると笑いが出てきてしまうわけです。これを車に縛り付けられながら撮っているのか…と。
 カーチェイスのシーンだけでなく、格闘シーンも見事。近距離、遠距離、混戦、タイマン等。それぞれの状況と立ち位置、使う武器によって動きの最適解を選択し、実行していく。好みです。

 この映画を観た人の意見でよく見るのが、「ストーリーはシンプル」といった感想。
 アクションを褒めるためにストーリーをサゲる、的な安易な紹介の仕方をしている人もよく見かけます。
 何かを褒めるためにすることが他をサゲる、みたいなことって安易でついやってしまいがちなのですが、自分的にはあまり好きではないのでそういうのを見るとスルーしてしまいます。それが的を射る物であれば話は違ってきますけど。

 自分としては決してシンプルで括れるようなシナリオでは無いと、捻りも入っていたりしっかり社会的メッセージも込められていると感じました。
 「シンプル」といえばそれこそジョン・ウィックなんかがシンプルにあたる作品のような気がします。復讐劇。
 タイラー・レイクをシンプルに描くとすれば、敵対するギャングの麻薬王に息子が誘拐されてそれを取り戻すために凄腕傭兵部隊に依頼、タイラー・レイクが出向く。みたいな。
 今作での描かれ方は、刑務所に入っているボスの息子が敵対ギャングの麻薬王の指示によって誘拐され、息子を取り戻す指示を部下であるサジュに与える。
 決して楽では無いその無謀で危険な任務を課されたサジュが取る策。そしてそのサジュの家庭環境や、誘拐されたボスの息子、オヴィとの関係性なども必要最低限の情報量でサクッと描かれる。その塩梅が個人的には丁度いい範囲内に収まっていると感じたが、そこを説明が少ないと感じる人もいたりする。
 深く描くと最大の魅力であるアクション映画としてのノリが間延びしてしまったりする、というかしてしまっている作品もあったりするのでその丁度いい範囲内に収めつつ、しっかり察しが付く程度の情報は提示されているので見事だと思いました。

 側から見ると同じ目的(オヴィの奪還)の者が争う構図になっているのも捻られていて面白い。それには理由があるのだがそこも面白い。
 そして同じ目的の者同士がついに対峙し、その後の熱い展開に繋がる。

 大きな戦闘の舞台となる場が先に出てくる構成、そしてそこに向かって進んでいくストーリーの演出。見事。

 少年ファラドの現実、容赦無いリアルな演出。
 現場に指示を与える麻薬王の両者は現場にいないという構図。一方は社会の高いところから、一方は刑務所の中から。
 現場は荒れている。生と死が入り乱れる中、タイラー・レイクは進撃する。

 
 またこんな映画が観たくなる。この製作陣でまた作って欲しいと感じる最高の映画でした。
 活動自粛中に是非この活動活劇をNetflixでご覧になってください。ありがとうございました。

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