毎日Netflix

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主にNetflixで観た映画の紹介、劇場で観た映画も。

{私的考察}Netflixオリジナル作品『エクスティンクション 地球奪還』はブルゾンちえみコスに目が行く映画(後半ネタバレ)

エクスティンクション 地球奪還

 絶賛するほどの傑作をNetflixオリジナル映画の中から発掘しようと色々つまんで観てはいるのですが中々見つかりません。今作はその中でも良い方、ではあるがやはり絶賛するまでは行かなかった。見終えてみると長女のブルゾンちえみコスが強く印象に残る程度の映画。ちょっと可愛いブルゾンちえみ
 
 それは冗談として、この作品は最後に一つのありきたりなメッセージを伝えてくる、しかしそのメッセージがズレているように私は感じた。
 

 家族を愛する男を苦しめる、エイリアンが地球へ侵攻する悪夢。ある日、謎の地球外生命体が地球上 のあらゆる生命に総攻撃を仕掛け、男の悪夢は現実と化してゆく。(以上、Netflixより)

予告編↓

72点

 主人公ピーターのSFチックな悪夢と悪夢から覚めるシーンが印象的に何度も描かれる。奥さんからの病院で診てもらいな、という助言にも「妄想だと言われる」とかなんとか言って頑なに行こうとしない。
 その後実際にSFチックなことが目の前に起こる。宇宙からやってきた者は地球を奪いにやってきた。ピーター一家は逃げ惑う。

 この時点で私は癖で一つの安易な勘ぐりを入れて観ていた。どうしても裏切られる快感を求めてしまうのでそう観てしまう。
 私の入れた勘ぐりはまさに
 「本当に妄想」
 最後は警官に連れられて診察、「病気ですね」というオチまで。
 どこかで観たようなアレですけど、全ては『裏切られる快感』の為の仮定。

 主人公以外の人物からの視点を入れてしまうとこの仮定は成り立たなくなってしまうので注意して観ていたら、早速奥さん視点入っちゃってあぼーんでしたペロペロ。

 衝撃の事実が明かされるシーンは正直「そう来たか!」と唸ってしまいましたね。

 ただ、宇宙からやってきた者から逃げるシーンでは、さながらゾンビ映画のような物が始まるのかと期待してみたものの、そんな事はなく、クローバーフィールドをPOVで撮らなかったらこんなつまらない感じになっちゃいますよ的な再現Vみたいになっていて「惜しい」所でしたね。

-ここからネタバレ-

 何か乗り切れない理由の一つとして『宇宙人』の造形が非常に人間臭いという、後の展開のためにそうしたのでしょうけれどもやはり『エイリアン物』を期待して観た人はガッカリする所でしょう。
 もっと非人間的な物を作るCGをケチって人間が演じちゃっているように見えてしまう。設定上しょうがないのが『後になってわかる事』という初見の衝撃が失われるジレンマ現象。

 メットを取って人間が出てきた所ではまだ「宇宙人といってもやっぱ人間型が効率良い型なのかね」とか思っていたのですが、その後、奥さんが機械というのがわかり、自分も機械だったというシーンで「そう来たか!」となった次第です。
 ピーターが見ていた悪夢は予知夢ではなく、記憶の断片が遺していた物だったという。

 昔、アンドロイドに対して迫害を始めた人間に対し、アンドロイド達は蜂起し、大きな戦争の後、人間を地球から追い出し、革命を成し遂げた。
 ピーターが見ていた悪夢はその時の記憶だった。その後、アンドロイド達は苦々しい記憶を消し、戦争で親が死んだ子も、家族として組み合わされ、再起動されたと。
 一部の者は記憶を消さず、火星に逃げた人間からの襲撃に備えていた。今回のは予期されていた襲撃だったと。
 
 『宇宙へ逃げた人間が地球に復讐しにくる』といえば『アイアンスカイ』という超面白い社会風刺映画があるのでオススメしておきます。
 こちらはナチスが月に逃げて基地を作っていたという設定。ナチスが地球に復讐しにくるという、設定がもう面白い作品です。Netflixにもあります。しかもディレクターズカット版。


 『エクスティンクション 地球奪還』最後に冒頭のセリフと対比させるようなセリフがピーターの声で発せられる。

 『僕らの世界 動き続け 変化し 進化する 僕ら自身も 自分を知った 敵が誰だかも それほど違わない それを 他の人がわかれば 未来はあり得る』

 この反戦映画的なメッセージ。報復の報復による報復が続く現代に向けて、理解しあい、歩み寄る努力をしようよ的なメッセージ。
 でもこれって革命を起こして歩み寄る努力もせず人間を追い出した側にいるピーターが言っちゃってるわけです。途中出会った人間の声かと字幕、吹替で確認したけど間違いなく主人公ピーターの声。
 人間側に言っているのであれば相当勝手な事だし。アンドロイドの幹部側に言っているのであればそんな電車に乗ってほのぼのボヤいてるんじゃなく幹部と近いお前が直接言えやって感じだし。それが中々言いづらいって事ならそのメッセージに意味を持たす為に何か一つでも歩み寄りの行動を起こすシーンを入れるべき、そういうのが何も無いから人間側の気持ちを察する事をしない口先だけのボンクラでしかないっていう。

 ここまで考察を進めるとまた一つ勘ぐりを入れたくなった。
 『こういうやつどう思う?』というのが裏のメッセージなんじゃないかと、タイトルを見てほしい。『エクスティンクション 地球奪還』
 『絶滅 「地球奪還」』間違いなく主人公視点で見ていないタイトル。奪還を狙うのは人間側なのです。人間側の視点を意識している。
 そう、この映画を観ると人間側に同情が行く部分がある。それが『狙い』であり、このアンドロイド側を揶揄した作品なのでは。


 地球における人間は宇宙から見るといわゆる先住民ってやつです。そこにアンドロイドがやってきて先住民に尽くすが嫌われ、迫害されると怒り、暴力で先住民を追い出した。そして記憶を消して人間として住み着いた。先住民に復讐され、戦争を思い出し、「歩み寄ろうよ」


 勝 手 す ぎ る ! !


 ん?ちょっと待てよ?

 大地における自然は地球から見るといわゆる先住民ってやつです。そこに人間がやってきて先住民と共に過ごし、不便を感じると怒り、暴力で先住民を追い出した。そして便利な物を構築し住み着いた。先住民に復讐され、共生を思い出し、「歩み寄ろうよ」


 ナ チ ュ ラ リ ス ト ! !

 

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